〇 内服薬
▼抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)
※ザジテン、アゼプチン、ニポラジン、アレジオン、エバステル、アレグラ、アレロック、タリオン、ジルテック、クラリチン
アレルギーに関係するヒスタミンH1受容体への結合を選択的に阻害します。高い選択作用にもとづく第一の特徴は、眠気、口の渇きなど不快な副作用が軽減されている点です。また、鼻づまりにも有効なものもあります。このような特性から、花粉症の初期治療として、また軽症例から重症例まで幅広く処方されています。
▼抗アレルギー薬(抗ロイコトリエン薬、その他)
※オノン、シングレア、アイピーディなど
ヒスタミンを含めアレルギーに関係する化学伝達物質の生成や遊離を抑えます。どちらかというと予防的な薬になりますので、初期治療として花粉が飛びだす2~3週間くらい前からはじめると効果的です。抗ロイコトリエン薬のオノンやシングレアは、従来の抗ヒスタミン薬が苦手とする“鼻づまり”に対してもよい効果が期待できます。どれも副作用は少なく、眠気もほとんどあらわれません。
• 花粉症に処方される主な飲み薬のうち、最も処方頻度が多いのが抗アレルギー薬です。次々と新薬が開発され、種類もたいへん多くなっています。それぞれ多少性質が異なるので、処方にさいしては効果の発現時間や鼻づまりに対する効力、眠気の副作用などが考慮されます。
• 抗アレルギー薬は早めの使用がポイント。初期治療として、花粉が飛び出す少し前からはじめると、シーズン中の症状が軽くてすみます。毎年、重い症状で悩まされる人は、早めに受診するとよいでしよう。
• 抗アレルギー薬の眠気の副作用は薬によりまちまちです。ザジテンやアゼプチンなどは、やや眠くなりやすいです。眠くなくても、集中力や判断力が低下することがありますので、車の運転など危険な作業は避けたほうがよいでしょう。一方、アレジオンやアレグラ、オノンなどはほとんど眠くなりません。
▼ステロイド薬
※プレドニン、リンデロンなど
ステロイド(副腎皮質ホルモン)には炎症(腫れ)をとる強い作用があります。そのため、重症例に限り用いられます。特に抗アレルギー薬が効きにくい“鼻づまり”に有用です。服用期間は4日から1週間くらいまでとします。あくまで臨時とし、症状が落ち着いてきたら、他の抗アレルギー薬や外用薬を主体とする維持療法に切り替えます。
▼配合薬
※セレスタミン
ステロイド薬(ベタメタゾン)と、抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン)が配合されているお薬です。使い方は上記ステロイド薬に準じます。症状のひどいときに短期間だけ使います。安易な長期服用は好ましくありません。
〇 点眼薬
▼抗アレルギー薬(遊離抑制薬)
※インタール、アレギサール、リザベンなど
目のアレルギー症状(かゆみ、充血、涙)を予防したり軽くします。花粉が飛びだす少し前から点眼をはじめると効果的です。ひどくなってからだと、よく効きません。
▼抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)
※ザジテン、リボスチン
アレルギー症状にかかわるヒスタミンを選択的に強くおさえるのが特徴です。比較的速効性ですので、必ずしも予防的に事前使用する必要もありません。軽いうちでしたら、よく効くと思われます。
▼ステロイド薬
※フルメトロン(フルオロメトロン)、リンデロンなど
ステロイド薬が配合される目薬です。花粉症には、副作用のでにくい低濃度の製剤がよく使われます。優れた効果がありますが、眼圧上昇による緑内障を来たす場合があるなど、安易な長期使用は好ましくありません。効果と副作用のバランスが考慮され、専門医により慎重に処方されます。
• 花粉症では、飲み薬とともに目薬や点鼻薬もよく処方されます。目のアレルギー症状には、たいてい「抗アレルギー薬」か「ステロイド薬」のいずれかの目薬が使われます。抗アレルギー薬は、早期の使用がポイントです。毎年、花粉症で悩まされる人は、早めに受診されるとよいでしよう。
〇 点鼻薬
▼血管収縮薬
※プリビナ、コールタイジン(ステロイドも配合)など
鼻の腫れをとる点鼻薬です。鼻づまりのひどい時に用いることがあります。強い血管収縮作用があり速効性です。一時的には鼻の通りがとてもよくなります。しかし、長く続けていると効き目が悪くなり、普段の鼻づまりがかえってひどくなってしまうため、長期の連用は避けなければなりません。症状のひどいときだけ頓用するか、ごく短期間の使用にとどめましょう。
▼抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)
※ザジテンなど
抗ヒスタミン作用をもつ点鼻薬です。効き目が早いので、必ずしも予防的に事前使用する必要もありません。鼻づまりの鼻閉型よりも、くしゃみと鼻汁の症状に向きます。軽いうちでしたら、よく効きます。
▼ステロイド薬
※アルデシン、タウナスアクアスプレー、リノコート、フルナーゼなど
ステロイド薬が配合されている点鼻薬です。炎症をとる強い作用があり、一般的な抗アレルギー薬が効きにくい“鼻づまり”に対しても良い効果が期待できます。比較的速効性で、効いてくるのも早いほうです。鼻粘膜に直接作用しますから、飲み薬のような全身の副作用はまずありません
• 用法用量は、各点鼻薬で異なります。説明書をよく読み、指示どおりに使用してください。正しく点鼻しないと、よい効果が発揮されません。
• 重い鼻づまり症状には、まず血管収縮性点鼻薬で鼻の通りをよくし、そのあとにステロイド点鼻薬を使うよう指示されることがあります。順番を間違えないようにしましょう。