お薬のはなし

骨粗鬆症を防ぐためには?

はじめに

 骨粗鬆症とは骨からカルシウムが溶け出し、骨がもろくなり、骨折しやすい状態になる病気です。女性では閉経期以降、骨からカルシウムの脱出が大幅に増加するので、中年以降の女性に多い疾患です。しかし、適切に対応すれば効果的に予防できます。具体的な方法を下記にまとめてみました。

1. 1日800ミリグラムのカルシウムを摂りましょう。

カルシウムをとりましょう 一般に一日に必要なカルシウムの摂取量は600ミリグラム以上と言われていますが、骨粗鬆症の予防のためには、できれば800ミリグラム以上摂ることが好ましいです。
 サクラエビ、ゴマ、黒砂糖、大豆、牛乳などを上手に利用してください。また、カルシウムは多くても、食塩の多いものは、尿からのカルシウムの損失を大きくするので、味付けをうす味にしたり、塩辛いものは量を少なくするなどの工夫をしましょう。

2. 牛乳だけに頼らず、多くの食品からカルシウムをとりましょう。

 牛乳は乳児や成長期の幼児にとっては大切な栄養素ですが、高齢者の場合は必ずしもそうではありません。カルシウムは多く含まれて入ますが、リンも意外に多く含まれていて、腸管からのカルシウムの吸収を妨害します。最近では牛乳のカルシウム量を強化した加工乳も販売されていますので、そういった食品を摂るのもいいでしょう。
 いずれにしても牛乳のみに頼らず、たとえば小松菜などのカルシウムの多い食品からカルシウムを補給することが大切です。

3. ビタミンDは植物油と一緒にとりましょう。

 ビタミンDはカルシウムの吸収を促進させます。ビタミンDは油に溶けるビタミン(脂溶性ビタミン)ですから、油と一緒に食べると腸管からの吸収がよいです。しかし、豚油や牛油は動脈硬化の進行を早めますので、植物油を使って調理しましょう。
 ビタミンD・・・カツオ、マグロ、いわし、レバー、しらす干しなど

4. 1日に飲むコーヒー量を減らしましょう。

 カフェインが含まれている飲み物は尿からのカルシウムの損失を大きくします。コーヒー1杯で5ミリグラムのカルシウムが損失されるという報告もあります。コーヒーに限らず、紅茶、日本茶、コーラ、ココアの中にもカフェインが含まれていますので、大量に飲むことはカルシウムの損失の面でよくありません。一切だめということではありませんので、多く摂り過ぎないように気をつけましょう。

5. 貧血をすぐ治療しましょう。

 カルシウムと同様に、女性に不足しがちな栄養素に鉄分があります。鉄分が不足すると貧血が起こります。貧血の女性は骨密度も低いというデータもあります。貧血の女性の90%は鉄欠乏性の貧血ですから、鉄分の多いほうれん草、カツオ、マグロなどで鉄分を補給しましょう。

6. 十分に食べ、よく運動しましょう。

 骨粗鬆症の予防には食事だけでなく、運動も大切な要素です。運動は筋肉を強化して骨を保護する効果と同時に、骨へのカルシウム利用率を高めるという効果もあります。また適度な日光浴は皮下でのビタミンDの合成が促されますので、十分に食べて、晴れた日には戸外で軽い運動を行ってください。ウォーキングですと1日30分~1時間が目安ですがマイペースに行いましょう。

7. 転ばない工夫をしましょう。

 寝たきりの原因の一つとして転倒や骨粗鬆症による骨折があげられます。転倒は敷居の段差やじゅうたんの端につまずいたり滑って転ぶなど、自宅でささいなことがきっかけで転ぶ場合が意外に多いのです。まずは部屋の整理整頓からはじめ、できることから少しずつ改善して安全な住まい作りを心掛けましょう。
 また、外出するときには服装や天候に気をつけ、時間に余裕を持って出かけるようにしましょう。家の外では平らな道で転ぶことが多いようです。

玄関や浴室・トイレ:手すりをつける、段差を小さくする、滑らないようなマットを敷く。
じゅうたん:じゅうたんやマットのへりにつまずかないように固定する。
電気器具:コードをテープなどに固定する。
階段:手すりをつける、滑り止めテープを貼る、足下灯をつける。
敷居:斜面をつけて段差をなくす。 

 レインボー薬局・かなで薬局では、骨粗鬆症やカルシウムの多い食品などに関する冊子をご用意しておりますので、いつでもご相談下さい。

【参考資料】: 骨粗しょう症をふせぐための20ヵ条 (旭化成ファーマ)

【リンク】: 骨粗鬆症のはなし(武田薬品工業)

       財団法人骨粗鬆症財団