お薬のはなし

高尿酸血症・痛風の自己管理(1)-高尿酸血症・痛風ってどんな病気?-

【高尿酸血症ってどんな病気?】

尿酸値イメージ「からだの中の尿酸が多くなる病気です」

 血液中の尿酸が正常の範囲を超えて多い状態を高尿酸血症といいます。高尿酸血症そのものは、なんの症状もありませんが、放っておくと尿酸が関節や腎臓などで結晶のかたまりとなって痛風や腎障害を引き起こします。

〇定期的に血清尿酸値をチェックしてもらいましょう。

 血清尿酸値が7.0mg/dLを越えたら、定期的に尿酸値を測定することが大切です。そして8.0mg/dL以上になったら、必ず医療機関を訪れ、腎臓などのチェックもしてもらいましょう。血清尿酸値の治療目標値は6.0mg/dL以下にするのがよいとされています。
 血清尿酸値=血液1dL中の尿酸の量(mg)

【尿酸って何?】

「からだの中の老廃物です」

 尿酸はからだの細胞の新陳代謝やエネルギーの消費によってできる老廃物です。
尿酸のもとはプリン体という物質で、細胞や食品中などに含まれています。私達の体内では毎日プリン体がつくられ、腎臓から尿に溶けて排泄されています。

〇尿酸はからだの中で結晶化します。

 尿酸は体内でたいへん溶けにくい性質をもっています。そのため、増えすぎてしまった尿酸は溶け切れずに結晶化していきます。この尿酸の結晶がからだのいろいろな部分に沈着して害を及ぼします。

【高尿酸血症の原因は?】

「尿酸の産生と排泄のバランスが崩れることによって起こります。」

 からだの中では、毎日ほぼ一定量の尿酸がつくられ、ほぼ同量が尿中へ排泄されていますが、この産生と排泄のバランスが崩れると、体内の尿酸の量が増えすぎて高尿酸血症状になります。

 バランスが崩れる原因ははっきりとはわかっていませんが、生まれつきの体質である場合がほとんどで、その他に肥満、飲みすぎ、食べすぎ、ストレス、薬剤性によるものなどの要因が関係していると考えられています。

〇高尿酸血症には3つのタイプがあります。

・尿酸が排泄されにくいタイプ(60%)
・尿酸がつくりだされやすいタイプ(10%)
・尿酸がつくりだされやすく、排泄されにくいタイプ(20~30%)

→ 自分のタイプを調べてもらいましょう。

【痛風とは?】

「尿酸の結晶が起こす病気です」

 痛風は、尿酸の結晶が関節に沈着して起こる病気です。
痛風の発作は、関節が赤くはれあがり激しい痛みを伴うのが特徴です。ある日突然起こり、放っておくと1~2週間くらいでおさまります。しかし、そのままにしていると数年のうちに必ず再発し、だんだん慢性化し、放っておくと尿酸の結晶が関節だけでなく腎臓にも沈着し、腎障害などを引き起こします。また、痛風結節といわれる尿酸のかたまりが耳や足の親指、肘の関節などにできたりします。

【どんなひとが痛風にかかる?】

「働き盛りの男性がかかりやすい病気です」

 痛風にかかるのは、ほとんどが男性です。比較的几帳面で行動的なひと、仕事をバリバリやるひと、アルコールをたくさん飲むひと、肉食を好むひとに多いと言われています。20歳代から50歳代に起こりやすく、女性や子供には少ない病気です。

 痛風になりやすいかどうかは、多少遺伝的要素が関係しています。また、最近は食生活の欧米化、アルコールの摂取量の増加、体型の肥満化、ストレスの増加など環境要因の変化によって、患者さんの若年化が進んでいます。

【参考】 「高尿酸血症・痛風の自己管理」 鳥居薬品