お薬のはなし

頭痛でお悩みの方に

頭痛の種類

 繰り返し起こる慢性頭痛には、「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」があります。日本人には緊張型頭痛が多く、慢性頭痛の約半数を占めています。次いで片頭痛が多く、8.4%の方が片頭痛と推定されています。(20人に1~2人)

「緊張型頭痛」について

頭痛の悩み 緊張型頭痛は、一般的に頭の両側からじわっと締めつけられるような重い感じの痛みです。原因は身体的ストレス(不自然な姿勢、悪い噛み合わせなど)がかかった場合や仕事、対人関係などの精神的ストレスよって頭の両側、または頭全体の筋肉が緊張して起こると考えられます。頭痛のほかに、肩や首のコリ、吐き気などを伴うこともあります。

〇薬物の治療

緊張型頭痛の薬物治療として用いられる薬には、次のようなものがあります。

消炎鎮痛薬(ロキソニン、カロナール、SG顆粒、バファリンなど)
痛みの原因を根本から取り除くわけではなく、痛みにだけ作用する対症療法薬です。筋肉の痛みがみられる場合には有効なので、痛みがひどい時に限り、短時間使用します。ただし精神的ストレスからくる頭痛には、効果はありません。

筋弛緩薬(テルネリン、ミオナールなど)
硬くなった筋肉をときほぐします。筋弛緩薬の中には、毛細血管を拡げて血行を促し、筋肉の緊張をほぐす循環改善作用をもつタイプもあります。

抗不安薬・抗うつ薬(リーゼ、デパス、トリプタノールなど)
精神的なストレスが頭痛の誘因になっている場合に用いられます。抗不安薬にはイライラ感を緩和し、筋肉の緊張をほぐす作用、抗うつ薬には、頭痛の発生に関わる脳内神経物質であるセロトニンの働きを正常化する作用があります。

〇日常生活の予防ポイント

・長時間同じ姿勢を続けないようにしましょう。
・軽いストレッチをして筋肉の緊張をほぐしましょう。
・日常、身に付けるもの、使用するもの(メガネや枕など)は自分にあったものを使いましょう。
・気分転換をうまく行い、ストレスをためないようにしましょう。
・1日の締めくくりに、ゆっくりと入浴し、血行を促すようにしましょう。

「片頭痛」について

 片頭痛は頭の片側に起こることが多く、ズキズキと脈打つ激しい痛みが比較的急に起こります。体を動かすと頭痛がひどくなったり、音や光、臭いが気になり、吐気や嘔吐をともなうこともあります。月に1~2回、多いときで週に2回程度繰り返し起こります。家族に頭痛持ちの人がいると起こりやすくなり、睡眠不足や寝過ぎでも起こることがあります。緊張型頭痛とは反対に、ストレスから開放されてホッとした気がゆるみ、筋肉の緊張がとけたときに起こります。

〇薬物の治療

(1)頭痛が起きてしまったときの薬物治療

消炎鎮痛薬(ロキソニン、カロナールなど)
脳の血管周囲の炎症を抑え、痛みを軽減させるくすりです。片頭痛の起こりはじめに服用することにより、頭痛を軽減します。

・トリプタン系のくすり(イミグラン、ゾーミッグ、レルパックスなど)
神経伝達物質であるセロトニンと同じ様なはたらきをし、拡張した脳の血管を収縮させて頭痛を抑える作用があるとされています。頭痛だけでなく、頭痛に伴う吐気や嘔吐を改善できる点も特徴です。

・エルゴタミン製剤(ジヒデルゴットなど)
脳の血管の拡張を抑えて、痛みを抑えるくすりです。片頭痛発作のごく初期に服用すると効果が期待できます。

(2)予防薬

 片頭痛の予防薬として、カルシウム拮抗薬(ワソラン、ヘルベッサーなど)、β(ベータ)遮断薬(インデラル)などが用いられます。どちらも血管の収縮・拡張をコントロールし、片頭痛を予防します。予防薬は頭痛発作の頻度や、強さなどを考えた上で服用します。

○日常生活の予防ポイント

・日ごろからストレスをため込まないように心がけましょう。
・睡眠不足や睡眠のとりすぎ(休日の朝寝など)に注意しましょう。
・まぶしい場所や騒音、人ごみを上手に回避しましょう。
・外出時に頭痛が起こりやすいひとは、薬を持って外出しましょう。
・原因となるチーズやチョコレート、ワインなどの食べ物がある場合は、注意しましょう。

〇もしも片頭痛が起こってしまったら・・・
・患部を冷やし、暗い場所で安静に。寝てしまうのが一番です。
・入浴を避け、シャワーにしましょう。
・コーヒーか緑茶などカフェインを含むものを飲むと楽になる場合があります。飲みすぎには注意して。

「群発頭痛」について

 年に1度ほど1ヶ月くらいの間、一定の時刻になると1~2時間毎日のように片目がえぐられるような激しい痛みが起こります。20~30代の男性に多くみられ、お酒をのむことによって起こりやすくなります。ニトログリセリン(狭心症の治療薬)などの血管を拡張する薬も群発頭痛を起こすことがありますので、医師に相談してみてください。

【参考】「頭痛でお悩みの方に」 ファイザー製薬

【リンク】 「スッきりんのバイバイ頭痛講座」 ファイザー製薬