お薬のはなし

ステロイド外用剤のお話

ステロイドって何? その作用は?

アトピー ステロイドとは副腎皮質ステロイドホルモンという副腎という臓器から分泌されるホルモンのことで、正常な状態でも身体を維持するために重要な働きをしています。ステロイドには強力に炎症を抑える作用と免疫の働きを弱めてアレルギー反応を抑える作用があります。この作用を利用してステロイドを含んだ外用薬はアトピー性皮膚炎をはじめ色々な皮膚疾患に使用されています。

ステロイド(副腎皮質ホルモン)は怖い?

ステロイドは、使うのが“怖い”という不安を解消することが治療の第一歩です
  
「副作用が心配・・・」「使って良くなってもやめればすぐに悪くなるのでは・・・」「どれくらいつけるのが適量?」・・など使い方がわからないという患者さんが多いのは事実です。しかし、この不安が病気を悪化させる原因にもなります。まずは、不安の解消が最も大切な治療の第一歩です。

ステロイド外用剤にはそれぞれ「強さ」があります。

 ステロイド外用剤は、強さの程度で5つのランクに分類されており、患者さんの年齢や症状によって適切なものを選びます。つまり、医師は皮膚疾患の種類、炎症が起きている部位や程度、患者さんの年齢などを考えて、適切なランクのステロイドを処方しています。

 たとえば・・・
●乳幼児やお年寄りの場合は、成人に比べ弱めのもの。
●顔は一般に薬の吸収率が高いので、弱めのもの。
●重症の病変であれば強めのもの。

 ステロイド外用剤の薬効による強弱の分類(商品名の一例)

〇Ⅰ群(最強):デルモベート、ダイアコート
〇Ⅱ群(かなり強力):マイザー、テクスメテン、アンテベート
〇Ⅲ群(強力):リンデロンVG、リドメックス
〇Ⅳ群(中程度):ロコイド、キンダベート
〇Ⅴ群(弱い):テラコートリル

ステロイド外用剤をいったいどのくらい塗ったらいいのか?

 目安として「人差し指の先端から第一関節部まで5gチューブから軟膏を出すと大体「0.5g」となり、この量が「成人の手で2枚分」に対する量です。言い換えると、5gチューブ1本で手のサイズ20枚分となります。

2~3日で皮膚の赤みがとれても、途中で使用をやめないでください。

 ステロイドを使用して、皮膚の赤みがとれても炎症が治まったわけではありません。皮膚に硬さが残っているうちは、皮膚炎を引き起こしている細胞が患部に残っているため、使用をやめるとすぐに再発します。赤みがとれても患部の皮膚をつまんでみて、健康な皮膚と同じくらいの軟らかさになるまで塗り続けてください(平均2週間程度)。

ステロイド外用剤を使用する際にはどのような注意が必要でしょう?

1.指示された部位を守って、違う部位に勝手に塗らない。
2.指示された塗布回数を守る。
3.使っているステロイド外用剤の強弱の関係を良く理解する。
4. 症状が変化したら新しく指示を受け、良く効くからと勝手に同じ外用薬を長期間塗らない。
5.かゆみが止まってもすぐに中止しない。かゆみで症状の判断はできません。
6.人からもらったり、人にあげたりしない。

参考資料:ステロイド軟膏のお話(アトピー性皮膚炎 版)シオノギ製薬